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芍薬甘草湯について

2022.11.25

今日は、先日のW杯フットボール(サッカーとは言わない!)、日本VSドイツ戦において日本の選手がよく足を攣っていたのを目の当たりにした。その時思ったことは、事前に芍薬甘草湯でも飲んでおけば大丈夫だろうにと言うことであった。そう言うあたり、まだまだ漢方は市民権を得てないなぁと実感した。

芍薬甘草湯は、おそらく葛根湯の次かあるいは次の次に有名な薬方であろう。処方構成は、単純で芍薬と甘草のみである。特にこむら返り(地方によってはコブラ返り?)で有名だが、お医者さんは何故か1日3回とかでお出しになる。昼間もなるのだったらまだ分かるが、こむら返りだけであれば就寝前だけで良いでしょう。あるいは、激しい運動する前とか。

芍薬甘草湯の作用は、こむら返りだけに留まる訳ではありません。つまり、骨格筋や平滑筋の痙攣を鎮めそれに伴う痛みに有効とされる。詰まる所が腹痛や腰痛にも有効で、しかも薬味が二つだけとあって効き目も非常にシャープなのです。

傷寒論での、芍薬甘草湯の条文を紹介しましょう

 傷寒、脈浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、返与桂枝湯。得之便厥、咽中乾、煩躁、吐逆者、作甘草乾姜湯、与之。若厥兪、足温者、更作芍薬甘草湯、与之。、、、、、、以下略

 脈が浮で、自然と汗が出て、しばしば小便が出て、わずかに悪寒がして、脚が引き攣る者に桂枝湯を飲ませたとあるのですが、これは間違った使用法な訳です。甘草乾姜湯で、足は暖かくなったが、芍薬甘草湯で足の痙攣は収まるのでさらに作ったとの事が書いてあります。

細野診療所では、漢方薬の薬理実験をこの世で初めて行いました。昭和25年のことであった。毎日、診療後に夜中までウサギの腸管を使用して薬理実験を行なっていたのです。そして、以下のことを突き止めました。低濃度の芍薬甘草湯のエキスでは腸管運動は興奮的になったが、高濃度にすると抑制的になったと言うものであった。

細野史郎が、薬理に拘ったのにはある経緯がありました。東京大学に漢方の話をしてくれないかと依頼を受けて講演を行ったのですが、聴講していたある教授から疑問が掛けられました。「漢方が聞くのは良くわかった。しかし、何故効くのかはっきりしない。その辺りはどうなのですか?」と言ったものでした。有効な回答をすることが出来ず、京都へ帰って来たとの事でした。よほど悔しかったに違いありません。この事がきっかけで、芍薬甘草湯の実験を始めました。

本日の写真は、大茴香です。八角とかスターアニスとも言われます。スパイスカレーでも使用しますが、私は北インドのカレーの時しか使わないです。医療用では、茴香といえばフェンネルですね。私は、シチリア料理の伝統的なパスタ、パスタコンレサルデによく使用します。パスタを茹でる時にフェンネルを一緒に茹でたり、フェンネルの種をオリーブオイル炒めて香りをオイルに移したりするのです。

話がずれました。細野では、大茴香を使用します。安中散に配合されますが、煎じている時は幸せな香りに包まれます。

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