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細野独自の処方 その3 第20話

2022.11.16

まず、なぜ細野独自の処方を披露しているかという事ですが、私の世代で途切れさせたくなかったからです。細野漢方薬局を開設した理念でもあるのですが、残すべきものは残さにゃねと言う思いからです。

本日取り上げる薬方は、小半茯橘です。正式名称は小半夏加茯苓湯加橘皮です。生姜と半夏で小半夏湯。そこに利水作用のある茯苓を加味すると小半夏加茯苓湯。この薬は医療用あります。強い制吐作用があり、妊娠悪阻や乗り物酔いや悪心嘔吐に応用されます。

そこに橘皮を加味するのが細野流なのです。橘皮は、理気薬でもあり化痰薬でもある薬物です。半夏と生姜と茯苓の作用を補う働きがあるわけです。

ちなみに、小半茯橘に甘草を加味すると、咳の所で登場した二陳湯という痰飲を除く基本処方となります。

また、陳皮という薬物もありますが、全く同じ生薬です。古い物は陳皮(古ければ古いほど良いとされる)とされ、生薬に鼻を近づけると堪らない芳香があることに気付きます。

次に取り上げる薬方は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯加黄耆です。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、久しく冷えにさらされ、その為に身体の底から冷えているような時に使用され、しもやけに応用されます。私も、昔はよくお世話になった薬ですが、本当によくしもやけには奏効します。細野流では、そこに黄耆を加味します。私も、なぜ黄耆を加えるのか全くもって謎でした。今や黄耆をこの世で初めて加味した細野史郎はこの世にいませんので確認のしようがありません。ですので、あくまでも多分そうであろうという仮説ではあるのですが、以下のように考えました。

黄耆は、気を補う薬としてよく知られています。気と言うのは、水や血に働きかけて流れを促す働きがあります。そこで、黄耆を加味して気を補い抹消の血の流れを促しているのではないかと言うことです。この仮説を裏付ける記述を書物の中に見つけました。以下、(ほとんど開ける事はない本ですが)漢薬の臨床応用より

 「痺証に用いる。末梢神経麻痺・脳卒中後遺症の半身不随・慢性関節リュウマチ・肩関節周囲炎などであるこれらは気血両虚のため、循環が障害されて生じた疼痛や痺れである。気めぐれば血めぐる、血を治すにはまず気を治すと言う観点から、黄耆を用いて補気する」

 とありました。また、黄耆を加えることにより、黄耆桂枝五物湯と言う痺証に使用する薬方を含有することにもなり、さらになるほど!となりました。

それにしても、おじいちゃん流石です。誰もしないことをさらっとやってのける。

本日の賄いは、アマトリチャーナ。さすがに、グアンチャーレは手に入らないのでベーコンで代用です。チーズは、もちろんペコリーノロマーノで。

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