トップブログ・コラム

生姜および乾姜について  第29話

2022.11.30

 本日のお題は、しょうがです。しょうがは、駄洒落によく用いられますね。しょうがとは、しょうがないねぇ。なんて下らないのでしょう。それは置いといて。

 生姜は、ショウガ科ショウガの根茎を使用します。ショウガ科の薬用植物は他にもあり、白豆蔲(カルダモン)や縮砂、草豆蒄、莪朮などもそうです。そして、漢方生薬で使用する薬物の中ではかなり使用頻度の高い汎用生薬のうちの一つです。以前に紹介した嘔気に使用する小半夏湯は、生姜ー半夏の2味だけですし、漢方で使用する風邪薬とされる薬方の多くに配合されます。薬能を見ていきましょう。

 長沢道寿の増補能毒からです

  味辛其微温腹中ヲ温メ気ヲ散ジ快クシ胃ノ気ノカイナキヲタスケ同フサカリタルヲ開キ食ヲ進ム霍乱ノ心腹ノ痛ニ。私曰霍乱ニカギラズ心腹ノ痛ニハ大方用イルガヨキテ吐逆ノ神薬也

 要するに、「温める力は微力で気を巡らして胃にも良い薬である。そして、上げ下し(嘔吐下痢)にはこれ以上ない薬ですよ」と言った事が書かれています。

 そして、乾姜という薬物があります。これは、どういうものかと言うと生姜を蒸して乾燥させた物を乾姜と言います。蒸すと言う工程が重要で、蒸すことによって薬性が変わります。つまり、温める作用が強くなるのですね。

 同じく、長沢道寿の増補能毒からです

  味辛大熱能毒大由生姜ニ同ジ替ル處ハ大熱ニテ気ヲ散スル事甚シ痰ヲ去ノ神薬也

   生姜と比較すると以下の点が異なります

        微温→大熱

        気を散じ→気を散じる事甚だしく

        吐逆の神薬なり→痰を去るの新薬なり

 とあります。前々回の薬対の甘草ー乾姜の所でも出て来ましたが、乾姜が加わることによりお腹の中の方を温める作用が非常に強くなります。小青竜湯や大建中湯なんかは分かりやすい例です。

 この様に、熱処理をすることにより薬性が変化すること薬物は他にもあり、地黄は蒸して乾燥させることにより熟地黄になり、温める作用が出て来ます。

 また、細野史郎は「尿道の刺激に敏感な人は苦情を言ってくる人が多い」とのことで、小柴胡湯去生姜加茯苓黄連連錢草として腎臓の機能の低下した人に用意していました。

あと、生姜はカレーには欠かせないですね。ニンニクとトマトと共にです。そう言えば、チャイにも絶対に必要。あとはシナモン、カルダモン、丁子です。

 本日の写真は、当薬局で使用している生姜。そうなんです。八百屋スーパーの生姜を使用するのが細野流です。産地は問いません。

 

  

まずはお気軽にお問い合わせください

TEL. 075-202-3052 / FAX. 075-201-3682

お問い合わせ