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漢方で言うところの「気」について  第41話

2022.12.19

 気と言う言葉は色んな使い方をしますね。空気や大気に始まって、雰囲気やそんな気がするなんて表現をしたりします。そして、漢方で気と言うのは大事な物差しとなります。

 それでは、気とは一体何なのでしょう?生体を構成する他の成分、血や水(津液)は目に見える存在ですが、気は目に見えない存在であるとされています。そして、分かりやすく言えば生命活動を行っていく上でのエネルギーと言えましょう。

 気には、3種類の気が存在します。まず、一つ目は肺の呼吸作用によって補給されるもの。呼吸は「天空の気」を取り入れ、体内の気を充実させる重要な働きがあります。深呼吸は気を体内に取り入れる健康法と言えます。二つ目は、消化機能によって食物の気を取り入れることが出来ます。そして、胃腸の弱い人は疲れやすく、スタミナがなく、病弱で、精神的にも神経質な面がありますが、これは消化器を介しての気の補充が不十分なためと言えます。「水穀の気」といいます。三つ目は、親から受け継いだ気。この気を「先天の気」と言います。水をつかさどる腎に存在すると言われ、生まれつきの体質などに関係すると考えられています。この気のことを元気といいます。

 そして、気はさまざまな働きをしています。

 1)温煦作用 気は発熱作用があり、体温を一定に保つ事が出来る。臓腑、経絡、血や水などの組織や器官などは発した熱により、円滑な機能を発揮する。夏場など、物を食べただけで汗が出て来て暑いと感じたことはありませんか?これは、食べる事が気を取り入れている事に他なりません。

 2)気化作用 飲食物から血や水を化生したり、水を輸布して尿や汗などに変化させる作用。

 3)推動作用 血や水の流れを促進すること。臓器や経絡が働いたり、身長が伸びるといった発育なども推動作用による。つまり、気が血や水の流れを司っていると言えます。

 4)防御作用 肌表を保護して外邪の侵入を防御する作用。例えば、乾布摩擦をする事により風邪をひきにくくしたりします。

 5)固摂作用 肌表から血や水などの液体物質が流失するのを防止する作用。

 次に、気と漢方の関係に参りましょう。本来、全身にくまなく巡っている気の流れが何らかの原因で、上半身と下半身の気の流れが不良となり、気が上半身に突き上げられるように上昇したり、下半身に流れるべき気が上半身に逆流してしまったりすることを、気逆と言います。気が上半身、特に頭部に偏ってしまい、下半身に気が巡らなくなってしまい、その結果、のぼせや動悸、めまい、頭痛などの上半身の症状の他にイライラや強い不安感がみられます。薬物としては陳皮、桂皮、木香、紫蘇葉などの生薬を用います。芳香性のある薬物が多いのが特徴です。処方では、半夏厚朴湯や桂枝加竜骨牡蛎湯、香蘇散などが用いられます。

 また、全身の気の流れが滞り、停滞してしまうと気滞(気鬱)がおこります。気は全身を滞りなく巡るのが正常な状態ですが、どこかで滞ってしまうと、膨張感や痞えた感じがおこります。憂鬱感から、喉の奥に何か詰まっている感覚や胸の苦悶感、息が深く吸えない、腹部の膨満感、頭に何か乗っているような頭重感、不眠、無気力、体が重い、抑鬱状態がみられる。気滞に用いられる薬物(生薬)を理気薬といい、典型的な薬物に枳実があります。その他に、厚朴や香附子など芳香性の生薬が多いのが特徴です。気逆に使用する薬物と共通する部分が多く、代表的な処方に、四逆散・半夏厚朴湯・香蘇散などがあります。気逆に使用する処方と共通する部分が多い。

 生命活動の源である気が全体的に不足している状態を気虚といいます。気力の落ち込み、無気力感、抑鬱感が現れます。さらに、気は主に食物から作られるのですが、気が不足すると食欲や消化吸収能力が低下し、さらに気の不足を招くという悪循環に陥ります。顔色が悪い、疲れやすい、食欲や性欲の低下、四肢の無力感が見られます。気虚が進行し、昇挙能力が失われると気陥と呼ばれる状態を引き起こします。具体的には、内臓下垂、脱肛などが見られます。また、気は陽気(身体を温める)ですので陽虚と呼ばれる状態になると。寒がる、手足が冷える、顔面蒼白などの寒証がみられます。黄耆や人参は代表的な補気薬とされており、これらを配合した処方が用いられます。六君子湯・四君子湯・補中益気湯などが代表的な処方として用いられます。陽虚の場合、寒証を伴うので、附子や桂皮などの補陽薬が用いられる。八味地黄丸などが代表的な処方として用いられます。気陥(気虚が進行した状態)に使用する薬物は、升麻や柴胡があり、代表的な処方には補中益気湯があげられます。

 今日の写真は、カレーリーフです。どんなカレーに合うかと言いますと、もっぱら南インドな作り方やスリランカカレーなど。バターや乳製品を使用しない南のカレーによく使用します。家のポット植えのカレーリーフを何枝か持って来て昼のカレーに入れました。胡麻の様な香りがタマランのですよ。

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