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本日のお題は、細辛について 第40話

2022.12.17

 細辛はウマノスズクサ科のウスバサイシンあるいは中国産のケイリンサイシンの地上部を除いた(←あとで出て来ます)根および根茎のことを言います。分布は中国、朝鮮半島および日本の本州、九州などの山地の樹陰に自生します。強い芳香があり薬味薬性は「辛・温」となります。(つまり味は辛く体を温める作用がある)細辛は根が細く辛いのでこの名がついたと言われています。

 葉は心形あるいは腎心形(つまりハートの形に似る)で葉は5〜10cmで一つの茎に2枚つきますが、それに隠れるような感じで、地面に接した暗紫色の花を見ることが出来ます。花の時期は3〜5月です。7〜9月頃に根や根茎を掘り上げ水洗い後、陰干しにしたものが細辛です。

 それに対して、ウスバサイシンに似た植物にカンアオイという植物があります。カンアオイは寒葵と書きますが、冬に落葉することはありません。花の時期が秋から冬にかけてというのも異なる点です。カンアオイは生薬名を土細辛といいますが、辛みが少ないので混同しないように注意しなければなりません。

 このほか、日本には50〜60種類のカンアオイ類があると言われていますが、ウスバサイシンは他のこれらの種類よりも葉が薄いのでこの名があります。ギフチョウの類が好む植物としても知られカンアオイはギフチョウが好み、ウスバサイシンはヒメギフチョウが好む食草として知られています。

 成分としては、メチルオイゲノール、ピネン、シネオール、リモネンなどの精油成分や辛味成分のペリトリンからなります。

 細辛は、解熱、鎮痛、去痰、鎮咳または新陳代謝機能の亢進を目的に用いられ代表的な処方に小青竜湯、麻黄細辛附子湯や前回紹介した当帰四逆湯あるいは当帰四逆湯加呉茱萸生姜湯などに配合されています。

 その他、民間的な用い方として臍に生薬を貼れば口内炎や口内のただれやあれに用いられます。

 また、近縁植物に関木通と言う植物があります。かつて、関木通の地上部を含んだ健康食品を摂取した人に腎炎の発生が報告されました。アリストロキア酸と言う腎毒性のある成分が含有されているためでした。そのため、ウマノスズクサ科の地上部は使用しないと言うのが暗黙の了解となっています。ちなみに、木通と関木通は全く異なる植物で、木通はアケビ科アケビ属の植物で根を薬用に使用します。こちらも、偶然ですが当帰四逆湯加呉茱萸生姜湯に配合されています。

 本日の写真は、自宅庭ポットに植えたウスバサイシンです。花期は、3月から5月ぐらいまで。株の根元に花を咲かせるので、葉を退けないと撮影できません。地味な花なので、その分長い間咲かせているのでしょう。

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