新年を祝うお酒として西洋ではシャンパーニュで乾杯するのが多いと思いますが、東洋(日本や中国など)ではお屠蘇でお祝いするのが昔からの習わしでした。
屠蘇とは、本来何でしょう?『屠蘇は中国の名医華佗の遺法で、本名を「延命屠蘇」といいます。屠蘇は、一切の病の根元となる悪気、体内に蓄積された食毒を取り除き、延年長寿の実をなし得るとされています。。。以下省略』つまり、屠蘇は、中国の華陀という名医が遺した処方で、ご馳走で満ち足りたお正月の(おせち料理)料理の食べ過ぎによる不快な症状(胃腸症状)を収めることによって、1年を元気に過ごすことが出来長生きが出来ますようにと言う意味のことが書いてあります。つまり、ただのお酒ではなく立派なお薬としても通用する事がわかります。
中身の生薬を見ていきますと、細野の場合、丁字・防風・縮砂・桂皮・白朮・蜀椒(山椒)の6味からなります。これらは体を温める(特に腹部を)生薬と体の湿を取り除く生薬からなっており暴飲暴食になりがちなお正月にはピッタリな中身となっております。
丁字は、丁香とも言われT字の形をしているのがこの名の由来とされています。いわゆる、クローブのことで肉類のニオイ消しや香辛料として使われます。生薬としては、お腹を温める作用に優れています。
防風は、細野診療所ではハマボウフウの根を使用しています。ハマボウフウは若芽を刺身に添えて用いられます。「風邪を防ぐ」の意味があり、解表薬(表邪を発散し、表症を解除する;<風邪の初期に見られる症状>薬物)に分類されます。
縮砂は、砂仁とも言われ中華料理の香辛料としてよく使われます。湿を取り、気を巡らし、お腹を温めます。ショウガ科に属し、独特な芳香が特徴的です。生薬としては、香砂六君子湯や香砂養胃湯などの消化器系の薬方に配合されています。
桂皮は、香辛料でおなじみのニッキやシナモンが近縁植物のケイと言う木の樹皮を用います。お腹も体の表面も温める効果に優れています。防風と同じく解表薬に分類されます。
白朮は、京都では八坂神社での大晦日のオケラ参りで有名ですが、湿を取る効果に優れ、この中では最も多くの漢方処方に配合されています。
山椒は、日本独自の香辛料で、お腹を温める効果に優れています。生薬としては、大建中湯に配合されています。
この様に、屠蘇散は体の湿を除くのと温める効果があり胃薬にもなることから、その様な目的で普通に煎じで服用していただくことも出来ます。普段から良くアルコールを飲まれたりついつい食べ過ぎたりする方にもオススメです。
本日の写真は、サイゼリヤにて。ロッソとビアンコ1本ずつ。昼から3人で2本プラス、グラス泡と食後酒頼んで、一人3,000円切るなんて素敵すぎます。