漢方の得意分野は、実は婦人科疾患であったりします。
月経、妊娠中、出産後、更年期障害など女性特有の症状に頭を悩ませます。そのほとんどは、血に関するトラブ
ルが多いのですが、それは別の機会に書くとします。
そして、一番驚くべきことは妊娠初期(悪阻対策)・安定期・出産後にも積極的に使用できる薬があることで
す。
悪阻の時には、むかつきを抑える「小半夏加茯苓湯(生姜・半夏・茯苓)」(細野流では、小半夏加茯苓橘皮湯
=小半夏加茯苓湯+橘皮)の適用となります。
悪阻の厳しい時期が過ぎ安定期に入ると、当帰芍薬散の適用となります。冷え性の薬として知られていますが、
本来は血虚があり水滞もある状態の時に適合する薬です。この薬で、出産まで服用するのですが、生まれてくる
子供は丈夫なことが多く、安胎薬として漢方業界では知られています。
産後は、芎帰調血飲と言う薬で、滞ったふる血と気を巡らします。早目に服用することにより、体調を整えて元
に戻し、次の出産に備える体づくりの手助けをします。
この様に、西洋医学にはとても考え付かない考えで、東洋医学は治療に当たるわけです。
このことは、陰陽虚実寒熱表裏の八綱弁証や気血水論そして五行説の臓腑論などの物差しを用いる東洋医学なら
ではあり、またこの場で触れる機会があるでしょう。