今日は、咳の漢方薬について書いてみます。
咳と言っても色々な咳がありますね。空咳もあれば粘っこい黄色い痰を伴った咳。喘息の様なゼーゼー、ヒューヒューいう咳など様々です。
そして、他の症状は治ったのに咳だけ残ると言うことも多々あります。そして、選択肢もたくさんあるが症状と薬が合えば良いが、中々合わせるのが難しいのが現状です。
まず、空咳の時は肺や気管支が乾燥していると捉え、潤す作用のある生薬を含む処方が思い付きます。代表的な処方には、麦門冬湯が挙げられます。金匱要略には、以下のように書かれています。
大逆上気、咽喉不利、止逆下気者、麦門冬湯主之。
咳がひどくこみ上げてきて気が上逆し(顔を真っ赤にして咳き込む様)、咽喉が塞がり込み上げてくる のを止めるのは、麦門冬湯が主ると訳します。
細野診療所の創設者の細野史郎は、麦門冬湯に半夏厚朴湯を合方して製剤化しました。そうすると半夏厚朴湯の咽中炙臠(炙った肉が喉に絡みつく様な感覚)と咽喉不利が合致することとなります。
また細野史郎は、麦門冬湯に五味子桑白皮橘皮竹筎を加味してより症状の強い人にも対応する薬も製剤化しました。
次に、麦門冬湯に近い処方に竹葉石膏湯があります。(この処方も医療用はありませんので、漢方相談薬局でしか購入出来ない)麦門冬湯に竹葉と石膏という清熱作用のある薬を加味し、大棗を去ったものです。似た様な使い方をしますが、石膏と言う強めの冷やす薬が入っているので、長い期間の服用には向いていません。