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桂枝湯について 第43話

2022.12.21

 本日は、桂枝湯に関してです。漢方で風邪薬と言えばまずは葛根湯。インフルエンザで有名になってしまった麻黄湯(個人的には使いにくい薬方だと思いますが)、それに続くのが柴胡桂枝湯となるでしょう。そして、どうも影が薄いのが桂枝湯となりそうです。

 桂枝湯は、どの様な薬かというと葛根湯や麻黄湯と同じく表証の時期に使用する薬方です。つまり、風邪の引き始めですね。しかし、葛根湯や麻黄湯とは使用する病態が異なります。葛根湯や麻黄湯が適合するのは、汗が出ていてはいけません。(もちろん尿量も減少しています)ここで問題なのは、ダラダラ汗をかいている状態を言うのでなく、ジワっとほんの僅かでも湿り気を帯びているだけでも汗が出ていると見ます。(桂枝湯は、実際には汗が出ている時でも出ていない時でも使用可能です)

 そして、汗が出ていると言うことは、体が弱っているとまで言わなくても虚証に傾いていると見ます。身体の汗と言う成分が漏れ出しているわけですから。この様な時に桂枝湯はピッタリなのです。また、葛根湯も麻黄湯も麻黄を含みます。麻黄は、どちらかと言うと攻撃的な薬物で強い発汗作用を示します。強い薬物ということは、元々虚弱な人には胃に堪えるとか心臓に負担に掛かるなどの悪影響が出て来ます。弱い体質の人の風邪には良いんですね。

 桂枝湯は、以下の5つの生薬で構成されています。

  桂枝、甘草、大棗、生姜、芍薬  たったこれだけです。そして。芍薬以外は食材になり得るものと言うことも体に優しい薬方と言えますね。

 また、特筆すべきことは、桂枝湯から派生して出来た薬方が非常に多い事でしょう

 ・+葛根、麻黄=葛根湯

 ・+芍薬=桂枝加芍薬湯 (裏位の薬;お腹の薬。桂枝湯は、表位の薬だが芍薬を倍量入れることにより裏位に働く)

 ・+芍薬、膠飴=小建中湯(同じく裏位の薬。虚労の薬でもあり、夜尿症に応用される)

 ・+芍薬、膠飴、黄耆=黄耆建中湯(虚弱体質、寝汗、湿疹、皮膚疾患に)

 ・+芍薬、当帰=当帰建中湯(月経痛、月経困難症、腹痛に)

 ・+芍薬、黄耆、当帰=耆気建中湯(虚弱体質、病後術後の衰弱に)

 ・+葛根=桂枝加葛根湯(麻黄の使用出来ない人で、肩こりや頸の強張りに)

 ・ー芍薬、+麻黄細辛附子湯=桂姜棗草黄辛附湯(難治性のこじれた感冒)

 ・+黄耆=桂枝加黄耆湯(寝汗、湿疹、小児の皮膚炎)

 ・+竜骨、牡蛎=桂枝加竜骨牡蛎湯(神経過敏、神経症、夜泣き、夜尿症に)

 ・+人参=桂枝人参湯(頭痛、動悸、のぼせに)

 ・+茯苓、白朮、附子=桂枝加苓朮附湯(関節痛、神経痛に)

 ・+小柴胡湯=柴胡桂枝湯(少陽病の代表的な薬方)

 などなど、非常に沢山の薬方の素になるのが桂枝湯なのです。

 本日の写真は、飼い猫のティアラ。猫は、ダッシュボードがお好きか?? 

♀、13歳、ソマリです。腎臓を病んでいて通院しています。財布に厳しいので早く良くなっておくれ。

 

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