風邪を引いたら、まずは葛根湯で発汗させ解熱させるのが常套手段である。
しかし、ゾクゾクの悪寒状態から脱してスッキリした状態になると、大分と熱も引いて来る。そうなると第二段階である。明け方には熱は引いているが、夕方から夜半にかけて熱がまたぶり返してくる。これを往来寒熱(寒熱往来とも言う)と言う。それと共に、食欲が減退し咳が出始め、口の中が苦く感じたり軽い目眩を感じる人もいる。傷寒論で言うところの少陽病の時期である。
その様な時には、小柴胡湯の出番であるが、特に柴胡桂枝湯が適している。柴胡桂枝湯は、小柴胡湯と桂枝湯の合方で非常に使い易い薬です。何も、葛根湯の次に服用する薬と決めつけなくても良く、ゾクゾクは無いが何か風邪っぽいなと感じた時には、柴胡桂枝湯の方が断然適している。そして、柴胡桂枝湯の良いところは胃に負担がかからない点である。つまり、汗をかいていても服用できて胃に負担が掛からないのが大きな特徴である。
また、柴胡桂枝湯は風邪薬として使用されるものではありません。
金匱要略には、
外台柴胡桂枝湯方、治心腹卒中痛者
とあり、腹痛のある時に用いよとのことが書いてあります。さらに、胃酸過多のある胃炎や胃・十二指腸潰瘍には本方に牡蛎を加え、消化器系に幅広く適用となる。
その他、薬方中に柴胡と芍薬を含むことから、疎肝解鬱も期待できる。気の滞りによるストレスや怒りなどの感情にも応用される。
この様に、柴胡桂枝湯は応用範囲が非常に広くしかも使いやすい薬として覚えておきたい処方である。