Facebookやinstagramにも投稿しましたが、昨日は京都のイタリアンludensさんにて行われた、薬膳料理研究家の谷口ももよ先生を囲んでの薬膳交流会に行って来ました。薬膳は、木火土金水の陰陽五行説がキーワードの一つで、漢方の場合もその部分を判断材料にしますが、それだけではなかったりします。
今日は、五味に関して取り上げてみます。五味とは、酸苦甘辛鹹のことを指します。
酸とは、酸っぱい味です。酸っぱい味には、収斂作用があるとされ流れ出ている物を収める働きがあります。例えば、花粉症で鼻汁が流れて止まらないとか、汗が流れ出て止まらないの様な時に酸味が収斂作用を発揮します。酸は、肝を補い働きを正常に戻します。そして、肝は気の流れを司る働きがありストレスや怒りと言った感情とも密接に関係があります。代表的な生薬は、五味子や山茱萸が挙げられます。
苦は、苦い味ですね。泄(降・瀉)の働きつまり、下に引き下ろす作用があります。そして、もう一つの大きな働きは燥、乾燥させる働きがあります。苦は、心と深い関係があり心臓に負荷が掛かる夏場には積極的に摂取したいところです。代表的な生薬は、黄連や黄芩、大黄などが挙げられます。
甘は、甘い味ですね。気を補ったり急迫症状を緩和する働きがあります。また、脾と深い関係があり脾の働きを補います。ただし、甘い味と言っても精製された砂糖を使用したお菓子ではいけません。つまり、食物の素材そのものの甘味が脾を助けます。とは言っても、疲れた時にはチョコレートなど甘い物を食べたくなりますね。それは、身体が甘い物を食べることにより疲れが取れることを知っているからに他なりません。代表的な生薬には、人参や甘草が挙げられます。特に、甘草湯と言う甘草一味の薬方がありますが、これは咽頭痛と言う急迫症状に対する薬と言えるでしょう。
辛は、香辛料の辛。つまり、スパイスですね。辛は、発散・行気・行血と言った作用があります。辛いカレーを食べると汗出ますね。これは、広い意味で発散と同じ意味合いを持ちます。また、白ワイン用のブドウ品種にゲヴュルツトラミネールと言うのがあります。この品種は、ライチやマンゴーなどの様な独特な香りがして、スパイス料理と相性が抜群だったりします。ちなみに、ゲヴュルツはドイツ語で香辛料、トラミネールはイタリアアルトアディジェ州のトラミンと言う村があるのですが、ゲヴュルツトラミネールはトラミン村が原産であるとされています。話が逸れました。代表的な生薬には、麻黄や薄荷などが挙げられます。
最後の鹹は、「カン」と読みます。塩からい味という意味になります。堅いものを柔らかくする作用があります。現代では、高血圧の原因になると言うことで悪者扱いですが、漢方ではきちんと役割があります。例えば、先日紹介した大承気湯の中の芒硝ですね。芒硝の働きによって硬く秘結した大便を柔らかくして出しやすくしています。ただ、食養では純度の高い塩化ナトリウムではなく、にがりなど不純物を含んだ天然の塩を用いることが肝心です。また、鹹は腎と親和性が強く、腎の司る老化現象に影響を与えると考えられます。あまり、塩分制限を声高に言うのは、東洋医学的にはグレーですね。代表的な生薬には、芒硝の他に牡蛎や昆布などの海産物が挙げられます。
本日の写真は、ウツボグサです。生薬名は夏枯草ですが、夏になると枯れているのでこの名があります。清熱作用があり、目の充血や疼痛、頭痛に応用されます。民間的には、利尿薬として膀胱炎などに応用されます。