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小柴胡湯について 第46話

2022.12.26

 今日、取り上げる薬方は小柴胡湯です。

 小柴胡湯と言えば、1996年に小柴胡湯に副作用があることが発覚。慢性肝炎にそれなりに治療効果を発揮していたが、間質性肺炎による死亡例を出してしまうと言う出来事がありました。それまで漢方は副作用が無いと信じられて来ただけに、社会に衝撃が走りました。黄芩が原因生薬として疑いがかけられるも、副作用のみられる処方に、黄芩が配合されているとは限らず、原因生薬の特定には至っていません。

 とマイナスイメージから入りましたが、ここからはプラスしか出て来ません。

 まず、どう言った薬方でしょうか。傷寒論の条文から紹介しましょう

 1)傷寒五六日、往来寒熱、胸脇苦満、黙黙不欲飲食、心煩喜嘔、或胸中煩而不嘔、或渇、或腹中痛、或脇下痞鞕、或心下悸、小便不利、或不渇、身有微熱、或欬者、小柴胡湯主之。

 2)傷寒四五日、身熱悪風、頸項強、脇下満、手足温而渇者、小柴胡湯之主。

 3)本太陽病不解、転入少陽者、脇下鞕満、乾嘔不能食、往来寒熱。尚未吐下、脈沈緊者、与小柴胡湯。若已吐下、発汗、温針、讝語、柴胡証罷、此為壊病。

小柴胡湯は、少陽病の薬方で引き始めて4、5日経過した時期に飲み出すと言うことが書いてあります。引き出してすぐに服用する葛根湯と時期が異なるわけです。そして、少陽病の特徴に関して書いてあります。1)の往来寒熱、胸脇苦満以下は全て当てはまります。一般の人にも分かる症状ですと、往来寒熱=朝は平熱、夕方から発熱、黙黙不欲飲食と或欬者=病邪が半表半裏に侵入して食欲不振に至ると言った症状が見られます。また、自覚的には分かりにくいですが、1)の「或腹中痛、或脇下痞鞕」や2)の「脇下満」や3)の「脇下満」は、鳩尾や脇下が張ったようになり強めに押さえると痛みがあります。

 ただ、やはり少陽病の時期には小柴胡湯ではなく柴胡桂枝湯(=桂枝湯+小柴胡湯)推しです。柴胡桂枝湯ですと、葛根湯の時期を過ぎてしまった時にでも対応出来るので太陽病から少陽病まで広い時期をカバーします。そう言う意味では、コロナで市民権を得つつある柴葛解肌湯(=葛根湯+小柴胡湯+石膏ー人参、大棗)も太陽病と少陽病の組み合わせの薬方ですので、使い勝手が良いと思います。

 小柴胡湯は、桂枝湯と同じく様々な組み合わせの下となる薬方です。紹介してみましょう

 ・+桂枝湯=柴胡桂枝湯

 ・+葛根湯、石膏ー人参、大棗=柴葛解肌湯(インフルエンザなどの高熱時に)

 ・+桔梗、石膏=小柴胡湯加桔梗石膏(少陽病の時期で、咽頭痛や扁桃腺腫大などがある人に適合する)

 ・+葛根、草果、瓜呂根(激しい咳に)

 ・+連銭草、黄連、茯苓ー生姜=小柴胡湯腎加減(細野流で腎不全に使用。細野流独自の処方)

 ・+半夏厚朴湯=柴朴湯(喘息の寛解期に。私の父の細野八郎が命名か?)

 ・+香蘇散=柴蘇飲(耳鳴りや耳閉感に)

 ・+小陥胸湯=柴陥湯(胸部の痛みを伴う咳)

 ・+五苓散=柴苓湯(細野流では、加茵蔯蒿山梔子として肝炎に使用)

などなど、沢山の合方加味方が存在します。

 最後に、細野流では小柴胡湯中の人参は竹節人参を使用しています。人参は補気作用が竹節人参よりもあるのですが、竹節人参は胃の熱を取る作用に優れます。吉益東洞が、小柴胡湯は竹節人参を使用していたのですが、その流れに倣っています。

 本日の写真は、クリスマスに作ったサルシッチャ。豚ミンチに、バジル・ローズマリー・オレガノ・ナツメグ・イタリアンパセリ・フィノッキオ(ウイキョウ)を入れて混ぜ合わせるだけ。ハーブやスパイスが入る所がソーセージとは違います。そして、レンズ豆はイタリアでは年末に食べて来年の金運を願うのだとか。つまり、レンズ豆=コインと見立てているとか。

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