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漢方のものさし(寒と熱について) 第36話

2022.12.10

 今日は、漢方のものさしの3回目と言うことで、寒と熱に関して書いてみようと思います。

 西洋医学では、熱というと体温の異常上昇を意味するが、東洋医学では必ずしもこの関係がイコールではありません。例えば、体温が38~39度に上昇していても、患者が悪寒を訴え、手足も冷たく、尿も透明で濁っていないなどの症状があれば「寒」と診断します。それに対して、体温が平熱でも熱感が強く、鼻汁や痰に色がついて粘っこい状態であれば「熱」と診断します。この辺り、検査値を重視する西洋医学と自覚症状を重視する東洋医学の違いが見てとることが出来ます。つまり、西洋医学では検査値に異常なければ治療の対象にならないことも多いのに対して、検査値に異常なくても自覚症状さえあれば治療を行える東洋医学との大きな違いです。

 また、寒や冷えが病気の原因となっている場合や、身体が弱って身体を温める力が衰えたときに「寒証」が生じると考えています。身体を温め、冷えや寒の邪を除く効果のある生薬あるいは処方を用います。寒証は、冷えを伴う病態であるので温める治療を行います。附子、乾姜、当帰、呉茱萸などの温める生薬を用い、呉茱萸湯・当帰芍薬散・小青竜湯などを証に応じて用います。

 それに対して、「熱証」は、熱感が強く、口の渇きがあり、喀痰や鼻汁に色がついて粘り、尿は濃くてスムーズに出ない、便秘する、脈は速いなどの症状がみられます。この様なときには、熱を冷ます生薬あるいは処方を用います。熱証は、熱を伴う病態であるので、冷やす治療を行う。石膏、知母、黄連などの生薬を用い、白虎湯・黄連解毒湯などを証に応じて用います。

 寒証と熱症の違いを以下に挙げてみます

 

寒証熱証
体感温度寒気を感じるほてりを感じる
飲み物温かい物を好む冷たい物を好む
顔色青白い赤い、のぼせ
尿の色透明、量が多い黄色い、量少ない
潤んだ涙目充血、目やにが多い
鼻汁透明、白い鼻水黄色い、粘稠な鼻水
喀痰透明、白く低粘性黄色く粘稠
口渇ない、喜唾口渇、乾燥
消化器食欲不振、惡心食欲旺盛、胸焼け
便通下痢気味便秘気味
精神状態物静か興奮気味
月経周期遅くなる、経血量少ない周期早くなる、経血量多い鮮血

 本日の写真は、昨日食べた日替わり定食。問題は、右のお蕎麦である。メニュー上はたぬき蕎麦になっていたが、京都では本来ならば「天かすそば」と呼ばれる物。京都で、たぬき蕎麦と言えば刻んだ油揚げとネギを餡掛けにした物を指します。美味しゅうございました。

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