今日は、人参について取り上げてみましょう。
人参と言っても色々あり、野菜の人参もあれば、みなさんよくご存知の朝鮮人参や朝鮮人参を蒸して乾燥した紅参。朝鮮人参つまり人参はオタネニンジンの根で、野菜のにんじんはセリ科で全く植物が異なります。その他、参の名の付く薬用植物に党参というのがあります。
そして、細野にとってはとても重要な薬物に竹節人参があります。竹節人参は、トチバニンジンの根茎を使用し、日本でも山間部に行けば出会えるかもしれません。
人参と竹節人参について掘り下げてみましょう。
人参は、一言で言えば気を補う働きがあるとされています。気とは、目には見えないものですが生きていく上でのエネルギーと言えばわかりやすいでしょう。気が不足しているとどこか元気が出ないややる気が出ないなどの兆候が出てきます。専門的な言葉を借りれば気の不足を気虚と言います。また、ニンジンが高価であることでも知られていますが、人参は植え付けてから掘り起こして収穫するまでに6年ぐらいは成長させる都され、しかも掘りとった後は人参が土の栄養分を存分に吸い取ってしまったが故に、痩せた土壌になってしまい作物を植えられなくなってしまうとか聞いた事があります。
人参は、本草備要と言う薬物書には以下の様に書かれています。
大補肺中元気、瀉火、益土生金。明目開心、益智添精神定驚悸。除除煩、通血脈、破堅積、消痰水
とあり、元気を付けたり、脾や肺を建て直し、目に良かったり知恵を増したり、精神安定させる作用があったりと非常に多くの効能がある事が分かります。
細野でも、多くの薬方に配合されていて、四君子湯や補中益気湯などの気を補う薬方、滋腎明目湯の様な目の疾患に用いる薬方に用いられています。
対する竹節人参は、あまり一般的では無いですが細野のレシピでは多用されます。竹節人参は、人参よりも気を補う作用は弱いのですが、胃の熱を取る作用が強く、特に細野の風邪薬の全て(と言いますか、古方の薬方)において竹節人参を使用しています。かの有名な吉益東洞は、人参は全て竹節人参を使用したとされています。小柴胡湯や麦門冬湯などにおいてもですね。
個人的には、竹節人参は人参よりも苦味が強く感じられ、風邪などで胃が弱っている時には、竹節人参の方が理にかなっているのかなと思います。
本日の写真は、サラシナショウマです。穂の先の方も開花すれば、試験管洗いみたいになるのですが、この後ポットごと落としてしまい、根と茎の境あたりが折れてしまいました。柴胡と組んで、下の方に落ち切った気を上の方に引き上げる働き(昇提作用)があります。補中益気湯に配合されています。